文の林

つたない文章の雑木林です

野菜を育てる

土に種を蒔き、太陽の光と雨の水があると
野菜は簡単に育つと思っていた。
たくさんの野菜を収穫することを夢見て
汗をかきながら、雑草地をスコップで耕す。
雑草の根や石を取り除き、野菜畑をつくる。
堆肥や肥料をいれて種を蒔く。
ときどき雑草を取り除く作業はあるが、
おおかたの労働はここまでだ。
あとは野菜の成長を楽しむだけだ。

種が芽を出し、すくすく育ってくれれば
おいしい野菜ができる。

ところがそう簡単にはいかなかった。
種をまいたら、鳥が食べるのか遊ぶのか
種をもっていってしまう。
茎が伸びてきて花を咲かす時期になると
虫が発生してくる。
成虫もいるし、成虫になる前の幼虫も
葉っぱが好きなのかバリバリ食べてしまう。
いよいよ収穫時期になったら、
野生動物が出てきて食べてしまう。
それだけではない。
雨が少ない、逆に多すぎるとか、
気温が上がらない、逆に暑すぎるとか、
自然条件による生育不良もある。

それでも私が手をかけてやるので
秋には収穫できて、新鮮な野菜を
食べることができた。
収穫した中から来年用の種を選別して
保存する。

野菜の遺伝子は言った。
手も足もない我々は、「人」を従順に
手なずけたので、これからも
永遠に生き続けていけるだろうと。