文の林

つたない文章の雑木林です

実行部

神様たちの要望で構築された
神頼み判定システムが稼働したんだ。
(詳細は1月19日「システム化」)

判定でOKの場合、願いを叶えてあげるのは
我々、実行部の仕事だ。

下積みが長い売れない演歌歌手の
「なんとか紅白歌合戦に出させてください」
という願いにヒット曲を与えたよ。
我々の部の力添えで、紅白歌合戦
初出場することができたのよ。
「演歌は一発当たれば大きいぞ!」との
言葉通りに売れに売れ、大当たりした。
お礼参りとして多大なお賽銭が入った。
そこの神社では初めての大入り袋が
出たそうだよ、噂だけどね。

ジャンボ宝くじの当たり番号に
関与したこともあったな。
「宝くじが当たりますように」との
誰でも思うような願いだった。
願った人の宝くじの番号を1等賞の
当たり番号にしたんだ。
あれには驚いたね。
私には恐れ多いと1等賞に当たった宝くじを
賽銭箱に入れてきたんだよ。

問題が発生した。
「A大学に合格しますように」
試験結果をちょちょっと改ざんして、
合格させたんだ。
「B大学に合格しますように」
こちらも、試験結果を少しだけ改ざんして、
合格させたんだ。
A大学とB大学に合格したのは
同じ人だったんだね。
受験生の親は「A大学」、受験生の祖父は
「B大学」との願いだったんだ。
神頼みは一生に何回も使えないから、
神頼み内容もデータに加えて重複しないよう
システム改修したのさ。

神頼み内容が蓄積されていき、
どのようなお願いが多いのか分析することが
できるようになった。
「親の介護をしているが、自分も高齢になり、
親を看取れるかわからない、なんとか
親が先に旅立ってもらえないだろうか」
このような願いが多くなってきたよ。
人の生死に関することは
「自助・共助・公助」と偉い人が言っていた
ように「公助」だろう。
我々が願いを叶える「天助」では
できないことだよな。