文の林

つたない文章の雑木林です

赤ちゃん

人間は自分たちの生活を便利にするために、
楽になるために数々の技術を開発してきた。
男性の腕から血液を採取して、
女性の腕から血液を採取して、
体外で赤ちゃんを産む技術が確立した。
血液採取の時は、刑事事件でDNA判定を
行うときのように指定された病院で
完璧に本人確認をして行われる。

血液採取後、人工子宮器の中で育てられる。
高確率で15ヶ月後に赤ちゃん誕生となる。
さらに希望によって、誕生から3年間は
赤ちゃんを預けることができるようになった。
手のかかる授乳、おむつ交換、離乳食から
普通の食事ができるまでの期間だ。
その期間で歩くことや、日常の会話が
できるようになっている。
親はリモート画面で自分たちの子供が
育つのを見ることができた。

女性は妊娠による悪阻、出産の痛みから
開放された。
卵巣や子宮を手術で取り除いてしまう
女性も出てきた。
育児休暇、男女同権と言う言葉は死語になり、
スポーツなど男女別の区分けがなくなった。

自然分娩による出産は少なくなってきて、
時代は進み、先進国では人工子宮器で
出産するのが一般的になってきた。
ところが、さらに時代が進み、人工子宮器で
生まれた子の血液からは赤ちゃん誕生の
確率は低くなっていった。

人工子宮器が普及しなかった国、
いわゆる後進国だけに赤ちゃんが生まれた。