文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウと病院

ケンタロウは病院が嫌いだった。
臭い。
今はそれが消毒のアルコールの臭いだと
わかるが、ケンタロウにとっては嫌いな
病院の臭いだった。
病院に入って、臭いだけで具合が
悪くなりそうだった。
風邪で病院に行ったとき、口を大きく開けて
先生が喉の奥に何か薬を塗り付けるのも
苦い味がして、とても嫌だった。
そのあと、何を食べても美味しくなかった。
お腹を痛くしたとき、少し前の授業で
伝染病の事を習っていたので、
これは伝染病だと思い親に話せないでいた。
親が気付いて病院に行く事になって
伝染病ではなくてホッとしたこともあった。

一人で病院に行って薬をもらった。
玄関で靴を履いて病院を出ようとしたとき、
バタバタと太った看護婦さんが走ってきて
薬を間違えたと言って、薬を交換した。
先にもらっていた薬は眠り薬が入っていると
教えてくれた。
そのまま飲んでいたら授業中にぐっすり
眠ってしまい薬のせいだと知らない先生に
怒られたと思う。
もしかしたら先生が怒っても起きなくて
先生の方が焦ったかもしれないな。

友だちが盲腸で入院したことがあった。
原因は食べた後に走り回ったからだと
親が教えてくれた。
ケンタロウも食べた後に走ったことが
あったが盲腸にならなくて良かったと思った。
お見舞いに行って、友達からメスで
お腹を切ったと聞いて身震いした。
別な友だちは重い病気にかかり
長い間入院していた。
学校で貰った用紙等を持って行ったりした。
木登りで落ちて腕を骨折した友達もいた。
腕が固定されていて何をやるにも
たいへんそうだった。
ケンタロウは、友だちが入院しているとき、
学校に来ないで寝て居られて良いなと
思ったが、やっぱり、学校、健康が良いやと
思った。

ケンタロウは大きな病気や怪我をすることは
なかったので、そんなに病院に行くことは
なかったので数少ない思い出である。
大きくなってから感じたことだ。