文の林

つたない文章の雑木林です

孫は鎹(かすがい)

あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは街に植木の剪定に出かけました。
おばあさんは川に砂金とりに出かけました。

おばあさんが川で砂金をとっていると
亀に乗った子供が流れてきました。
おばあさんは、その子を家に連れて帰り
タロウと名付け養子にしました。

おじいさんとおばあさんには
キンタロウとモモタロウという子供がいました。
兄のキンタロウは相撲部屋に入り家を出ました。
弟のモモタロウは友人のタンジロウと鬼退治に
参加するために家を出ていました。

タロウはおじいさんとおばあさんに育てられ
大きくなりました。
タロウは飲み屋に行くのが好きな子で、
特にバー「竜宮」に毎日のように通っていました。
バーにはタイやヒラメが多いのですが
マダムのオトヒメにひかれて行くようです。
・・・話がそれてしまった。

おじいさんは、これではタロウが駄目になると思い、
訓練学校に入れて技術を身につけさせようと考えて
おばあさんに相談しました。
以前から、おばあさんはウチにはそんなお金はない、
おじいさんの働きが悪いから、もらってくるお金が
少なくてお金なんか貯まってないと言ってました。
今はおじいさんは年を取り剪定の仕事ができなくなって
いたのでタロウに出すお金はないと言いました。
おばあさんは砂金で小金をためているはずなのですが、
それは自分のお金だと言いはります。

おじいさんは仲間と一緒に働いていたので
ストレスが溜まっていて元気がありません。
家に居ることでさらにストレスが溜まってしまいます。
おばあさんは近所のおばちゃんたちと
井戸端会議をして元気をもらってきていました。
おじいさんとおばあさんの仲は
だんだん悪くなっていきました。

おじいさんは反論したいのですが
おばあさんの方が口が達者で
いつもおじいさんが負けてしまいます。
おじいさんとおばあさんが話をすると
口喧嘩になってしまうので、
おじいさんは、もう口はきかんと
しゃべらなくなりました。

おじいさんはキンタロウやモモタロウが
家に帰ってきたときは、普通にしゃべるのですが
子供たちが帰ると貝になってしまいます。

タロウは飲み屋で団子屋さんが儲かると聞き
きびだんご屋さんを始めました。
犬や猿やキジも買いに来るようになり繁盛しました。
タロウは店で雇っていた看板娘と結婚して
赤ちゃんを産みました。
店が忙しいので赤ちゃんの面倒は
おじいさんとおばあさんが行うことになりました。
おじいさんは赤ちゃんの面倒をみるのに
口を閉じたままでいられなくなりました。
自然とおばあさんと話をするようになり、
むかしのような仲の良い夫婦に戻ったとさ。
めでたしめでたし