文の林

つたない文章の雑木林です

花さけ爺さん

花咲じいさんという昔話、知っているだろう。
ポチだかシロという犬を大事に育てたら、
犬が「ここ掘れワンワン」と吠えたので、そこを
掘ったら小判がザクザクが出てきた。
欲張りじいさんに犬を殺されてしまうという
悲しい部分もあるのだが、最後には
枯れ木に灰をかけて花を咲かせ、
お殿様に喜んでもらいご褒美をもらう
ハッピーエンドな話だ。

私も花を咲かせて誰かからご褒美を
もらいたいと考えた。
しかし、宝物のありかを知らせてくれる
賢い犬は飼っていないし、
狭い庭には枯れ木はないし、灰もないのだ。
仕方がないので、種や球根を土に埋めた。
春には色とりどりのチューリップ、
夏には高く育ったヒマワリの大輪が、
秋には風にそよぐ可憐なコスモスが咲いた。

通りかかって花を見た人は、
「きれいですね~」と声をかけてくれたが、
何もくれなかった。
しかたがないので、やけ酒を飲んだ。
酔いが回って、ハッピーになった。
そうだよ、
私は「花・酒・爺さん」だよ。