文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウの正月

元旦は、大晦日で残ったものを食べる。
それと、大きな鍋で作った雑煮を食べる。
ケンタロウは餅が好きだった。
ストーブに餅をのせて、ジーッと見ていると、
プーと膨らむのが不思議で楽しかった。
海苔で巻いて醤油をつけたり、
きな粉で食べることもあった。

元旦はテレビを観ながらダラダラしている。
冬休み中だから、みんなそうだと思う。
お母さんが「一年の計は元旦にあり」という
言葉があるんだよと言い、
ダラダラしないでピシッとしなさいと言う。
ケンタロウは、一年の計とは一年の集計や
合計が元旦に表れるのだと思った。
元旦にゴロゴロしていたら、この1年は
ずっとゴロゴロして勉強しないのではと。
元旦に勉強したら、この一年はしっかり
勉強するのかもと。
それなら、元旦、1月1日の午前中は
登校日にして勉強すれば良いのではないか。
その年は、ずーーと勉強しているかもしれない。
ケンタロウは、のちに正しい意味を知ったが
それまでは、ずっとそう思っていた。

ケンタロウは、「三日坊主」は
床屋に行ってきれいな坊主頭にしても、
3日間を過ぎると髪の毛が伸びてきて
坊主頭でなくなる言葉だと思っていた。

ケンタロウは、「ローマは一日にして成らず」は
家で飼っている馬が年をとって老馬になったが
長い間生きていたので、一日ではならない
という言葉だと思っていた。

話を正月に戻そう。

雪が降ると、雪かきをする。
厚い上着を着ていると汗をかいてしまう。
寒くて、青い空の下、真っ白な雪面を
名犬ポッポと一緒に走るが好きだった。
家で凧を作り、空き地で凧をあげる。
ケンタロウは細かい作業が好きなので
凧を作るところから楽しかった。

あったあった、今年も年賀状の中に
クリスマスツリーやサンタクロースの
絵を描いたのがあった。

親戚のおばさんからお年玉をもらった。
お母さんは、こちらからも相手にお年玉を
あげなければならないのでと言われ
もらったお年玉は没収されてしまう。
ケンタロウは、他の家でも同じなのかなと
思ったが、誰にも聞けなかった。