文の林

つたない文章の雑木林です

母の詩(3)

母は亡くなって20年
その後の見られなかった世界
とても会わせたかったな
息子の嫁さんと元気な孫たち

ストーブの上の煮しめの大きな鍋
昆布だしの醤油の臭いがただよう
今でも醤油味の煮物のかおりで
年の暮れを思い出してしまう

普通は会社に依頼する
私のは母の手縫いの浴衣
今も丹前下として使っている

釣銭を返さず怒られた
亡くなった後に出てきた
なつかしい釣銭入りの財布

部屋に飾ってる母の写真
控えめに笑いながら
お前は頑張っているかと聞いてくる

居間や庭の草花が大好きで
母がそばで見ているように
今年もたくさんの花が咲いた

お墓や神棚に向かい合うと
思い出が頭の中を駆け巡り
私の中では生き続けている