文の林

つたない文章の雑木林です

母の詩(4)

母は亡くなって20年
呼吸するのが苦しくて
呼びたくない救急車を呼んで
入院したのは二日だけ

山菜取りで川を越えていく
次々と山菜を見つけて奥へ
急に動けなくなって
しばし休憩して戻ってきた

今思えば、もったいない
誰も引き継いでくれなかった
母の味と出来上がり

母の年は止まったまま
私の年が1年1年近づいていく
あと5年で母の年になる

父さんが二日酔いで
代わりに生き物の世話をして
父さんだったらと愚痴っていた

数行の文字では書き表せない
苦労を超える喜びで終えた
人生だったと思いたい

まだ元気で生きていたら
明日が93歳の誕生日
何を食べたいと言っていたかな