文の林

つたない文章の雑木林です

人間のしっぽ

むかしむかし、人には猿や犬と同じように
尻にしっぽがあった。
しっぽは人の意志に関係なく動いた。
しっぽの動きは無意識に感情を表した。

たとえば、うれしい時は左右に大きく振れ、
悲しくてしゅんとしたときは足の間に挟まった。
怒ったり興奮したときは上にあがり、
素直に物事をとらえるときは下を向いていた。
嘘をつくときは右上にあがり、
本音をしゃべるときは左上にあがった。
だまそうとしたり、ごまかそうとしたときも
しっぽは従順に動いた。

人をだます商売をしている人は困っていた。
嘘をつくのが大好きなたくさんの人も困った。
そこで、しっぽの動きがわからないようにしようと
パンツをはくようになった。

しっぽが見えなくなり、その人がどのように
考えているのかわかりづらくなった。
じょじょに楽しく明るかった世の中が
悪い人にだまされたりする住みにくい
世の中になってしまった。
しっぽはパンツに締め付けられ退化し
現在はその面影は残っていない。