文の林

つたない文章の雑木林です

お客様対応

「なんでアイスクリーム、温めるんだよ!」
「お客様が、お買いあげした袋を渡してくれて
 温めてほしいとおっしゃたからでございます」
「弁当はいいよ、温めたほうがうまいから、
 でも、アイスクリームは冷たくなければ
 おいしくないだろうが!」
「アイスクリームを温めて食べるお客様も
 いらっしゃるのではと思ったものですから」
「そしたら、これ食べてみろよー」
「私は甘いものは食べられないのです」
「どうするの、このどろどろのアイスクリーム」
「お客様がおいしく召し上げればよろしいかと」
「あんたじゃだめだから、店長を出せよ!」
「はい、私が店長でございます」
「店長がこんな対応していていいのかよー
 信じられないよ! 
 こんなことしてたら、こんな店
 無くなってしまうよ」
「お客様、申し訳ございませんでした、
 同じ商品にお取替えいたしましょうか」

バックヤードから、若い店員が出てきた。
「たいへん申し訳ございません」
「なんだよお前、俺は店長と話してんだぞ」
「たいへん申し訳ございません」
「お前、それしか言わないのか?」
「たいへん申し訳ございません」
「お前、謝ること専門の店員なのか?」
「まことに申し訳ございません」
「へー、違う言葉もしゃべれるんだー
 おいおい、こんな対応じゃ、こんな店すぐに
 消えちゃうぜー」
「この店が消えたら、何か問題が」
「そりゃ、家の近くにあるから、無くなれば
 困るけどよー」
「ありがとございます、またのご来店を
 お待ちしておりまーす」
「なんなんだよお前、このアイスクリームは
 どうなるのよー」
「そのアイスクリームは在庫があります
 お買い上げいたしますか」
「また金を出して、買えって言うのかよー」
「お買い上げいたしますか」
「もういいよ、帰る!」
「ありがとございます、またのご来店を
 お待ちしておりまーす」

ロボットをモニターしていた技術者は
店長ロボットは、高性能で丁寧な対応するが
まだちょっとお客様対応には使えないな。
店員ロボットは、問題なくお客様対応できるな、
早急に1店に1台ずつ配置しよう。