文の林

つたない文章の雑木林です

人生ナビ

先生
そろそろ進路を決めないと駄目だな。
将来どんな仕事に就きたいの?
それによって、進む学校とか決まって
くるんだぞ。

生徒
俺、何やりたいのかわからないっすよ。
カーナビみたいに、たくさんの職業が
画面に表示されて、そこから選択するとか、
決めた職業があれば、それを入力すると
ナビが、そこにたどり着くまで音声で
導いてくれるとか、そんなのないかな~
途中で職業を変えてもナビしてくれる
『人生ナビ』、必要でしょう。
どこかに売ってないかな~

先生
何バカなこと考えてんだー
自分の人生を自分で考えるのは
若い人の特権だぞ。
機械任せにするなんて、駄目だぞ。

生徒
間違った方向に進んだら、音声で修正して
くれるのよ。
正しければ、そのまままっすぐ3年とか。
こんな機械があれば、欲しいなー

先生
お前は自分の意志がないのか?
機械に左右されて、それでいいのか?

生徒
いんじゃないの、最終的には親か先生が
決めるんだろ。
先生が、『人生ナビ』に自分のこと入力したら
その道は、あと3年で行き止まりですとか、
言われたら笑っちゃうな。

先生
俺は、この先もずっと先生で行くんだ。
へんなこと考えるな。

生徒
先生は、道を間違ったのを認めたく
ないんじゃないの~

先生
(無言)

生徒
人生ナビあったら、総理大臣って入力して
みよっかな。
女性の音声で、
有名大学に進んで、弁論部に入ってください、
その後、有名大臣の秘書を5年行って、
家柄の良い大臣のお孫さんと結婚してください
到達までの所要年数は35年です、とかさぁ。

先生
馬鹿々々しいこと考えないで真剣に考えろ。

生徒
後で親父の車のカーナビに
行き先を「総理大臣」って入力してやろっと。
  ・
入力したところ
女性の声がした。
たいへん渋滞していますので、到達までの
所要年数は120年です。