文の林

つたない文章の雑木林です

夢のキャンピングカー

結婚して家族が出来て
楽しみは休日のキャンプ

子供が喜ぶのがうれしい
キャンプ後のテント干しなどの
後片付けは妻の仕事だ
私は会社に行かなければならないので
仕方がない

キャンプ場に行くと、キャンピングカーで
来ている家族もいる
私もキャンピングカーが欲しいと思った
テントの用意はしなくてもいいし、
雨が降っても車内で食事ができるのだ
妻も子供も喜ぶと思う
会社への通勤で普通車が必要なので
経済的に車を2台所有するのは難しい

それでも欲しい気持ちは変わらなかった
平日は残業をこなし、休日出勤もして
少しずつお金を貯めた

子供は大きくなり、親と一緒に
キャンプに行く事は少なくなった
しかたがない、キャンピングカー買ったら
妻と二人でゆっくりキャンプに行こうと
夢をふくらませた

会社では役職も付き、忙しい毎日だ
妻との意思疎通が少なくなってきたが
仕事に打ち込んだ

退職金の半分と長年貯めていたお金で
念願のキャンピングカーを手に入れた
車体の横に「夢のキャンピングカー」と
大きなロゴを入れた特別仕様だ
退職と同時に妻から離婚を言い渡された
妻は、子供たちは結婚して親元を離れたし
それぞれ、相手の事を考えないで
好きなように生きて行きましょうと言う
今まで妻の要望に応えられなかったので
長年住んでいた家、退職金の残りの半分、
財産のほとんどを妻に渡した

私は、住所不定
財産はキャンピングカーだけ
しかし、時間と自由はたくさんある
今後のお金は年金頼みだ
夢のキャンピングカーで好きな時に
好きな場所に行く事ができる
これから先、キャンピングカーが壊れて
動かなくなるか、それとも、
私の寿命が尽きるのが先か

「夢のキャンピングカー」と描いた車が
数日間同じ場所に駐車していたら、
遠慮しないでドアを開けてみてください
鍵はかけておかないので、
是非、私の安否確認を、よろしく。