私は平凡な人生に飽きていた。
これが私の選択したものだったのだろうか。
人生の岐路で選択しなかった方に進んで
いたらどうなっていたのだろうかと。
私と同じ名前の人物がいたら、その人は
どのような人生を歩いたのか気になった。
インターネットで私の名前を入力して調べたが
出てこなかった。
それではと、小説の中に出てくる登場人物に
私と同じ名前の登場人物がいるのでないかと
考えた。
私一人で調べるのはとうぜん無理だ。
インターネット百科事典のウイキペディアの
ように誰でも入力できるシステムを構築して
開放した。
みんなの協力を得て登場人物データベースが
ある程度出来上がった。
私の名前を入力して検索した。
ありました、私の名前の登場人物が。
あるミステリー作家が書いた本の中で
主要人物として登場していたのだ。
早速その小説を買ってきて読んだ。
苦労を重ねて会社を大きくした社長だったが、
最後に捕まってしまう殺人者だった。
どのような作家なのか気になり調べてみた。
なんと、幼い頃に一緒に遊んだ友人だった。
ただ、私が結構いじめていたのを思い出した。
こんな形で仕返しされていたとは、
ビックリだけどね。
反面教師じゃないけれど、この登場人物の
ような人生を歩まなくて良かった。
私は平凡な人生に感謝した。