文の林

つたない文章の雑木林です

騒音

1階の入居者(下田さん)から電話が来た。
2階の入居者(上野さん)の騒音が気になると
言ってきた。
日中なら生活音として我慢するが、夜中に
大きな音がするのは勘弁してほしいと。
室内に階段があるメゾネット型ではなく
1棟4戸、普通の木造2階建てのアパートだ。
中央に共同の玄関があり、玄関内に階段がある。
階段の奥側にトイレ、脱衣所、風呂があり、
その外側に大きなリビングと洋間がある
1LDKだ。
構造上、上からの音は、真上の部屋からの
音だと推測できる。

下田さんも上野さんも普通のサラリーマンで
一人で住んでいる。
2階の音が下に響くのはある程度容認して
もらいたいが、夜中にはまずいなと考え、
上野さんに電話した。
上野さんは、そうですか、気を付けますと
言ってくれた。

しばらくして、また下田さんから電話が来た。
大家さんから上の入居者に言ってもらえ
ましたかと。
まだ騒音が続いていると言ってきた。
何時ころですかと聞くと、夜中の1時過ぎと
教えてくれた。
上野さんに電話した。
帰宅後に筋トレとかして、気づかないが
音を出していることはないですかと聞いたら
だいたいその時間には寝ていると言う。

下田さんに、今度騒音がしたら翌日に
連絡してほしいと伝えた。
下田さんから、昨日の11時ころに騒音が
したと連絡がきたので、上野さんに電話した。
上野さんは、その時間は寝ていたと言う。

大家としては、下田さんか上野さんの
どちらかが嘘を言っていると考え悩んだ。

上野さんは壁に沿って置かれたベッドで
ぐっすり寝ていた。
今日も無実の罪で牢屋に入れられて、
悔しくて悔しくて、早く出してもらいたく
膝や足先で牢屋の壁を蹴っている
夢を見ていた。