文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウの先生

ケンタロウの小学校の先生は
背が高く体格が良いのと声が大きいので
どこにいてもすぐわかる。
お父さんと同じくらいの歳の男の先生だ。

スバル360に乗っていた。
先生の車に乗せてもらったことがある。
暑い日だったので助手席の前の扇風機が
勢いよく回っていた。
暖かな風があたるだけで全然涼しくなかった。
ケンタロウは家に車が無かったので
車には扇風機がついているものだと思った。

絵がとても上手な先生だった。
水彩画なのに油絵みたいだった。
習字はうまかったが、黒板に書く文字は
そんなにきれいではなかった。
読み間違いしない文字なので
ケンタロウはノートに先生の字を書き写した。
ケンタロウの字は先生よりさらに
汚くて読みづらい字だった。
ケンタロウは自分が読めれば良いのだと
思って書いていたが、読めない時もあった。

通信簿の先生の記入欄には
「ケンタロウ君はやればできる子です」と
いつも書いてあった。
先生は、クラスの全員に名前だけ変えて
同じことを書いているのではないかと思った。
「でもな、やらないんだよな~」と思い、
成績が上がらないのは納得していた。
先生に「どうしたらやれるのか」というのを
具体的に教えてもらいたかったな。

ケンタロウは両親とポッポと数人の友達の
事だけを考えればいい。
先生はいつもクラス全員の40人の事を
考えているようだ。
さらにPTAとか校長や教頭のこととかも
考えているようだ。
ケンタロウはそんなにたくさんの人の事を
考えられないので、大きくなっても
先生になろうと思わなかった。

先生の子供って頭が良いのかなぁ。
ケンタロウの親が先生だったらクラスで
一番頭の良い子になったかなと思った。