文の林

つたない文章の雑木林です

記憶の再現技術

人は記憶を残そうと努力した。
最初は目に見えるものを残す技術を開発した。
カメラだ。
目で見たものを残すことができるようになった。
人はカメラを買って過去の姿や景色などを保存した。

次に耳に聞こえる音を残す技術を開発した。
テープレコーダーだ。
声や耳にした音を残すことができるようになった。
音楽を聞くためや会話を残すために普及した。

次に目で見た人や物の動きを残す技術を開発した。
さらに耳に聞こえた音も一緒に残す技術も加えた。
ビデオレコーダーだ。
子供が元気に動き回っているところや音に合わせて
踊りながら歌っている姿を残したくて普及した。

次に目で見たものと耳に聞こえたものに臭いを
残す技術を開発した。
これで人の記憶に残す技術は最終版になるだろうと
期待して販売した。
しかし予想していたほど売れなかった。
とっても良い臭いの時は問題ないのだが、
不快な臭いの時はスイッチを切っても
臭いが残ったからだ。