文の林

つたない文章の雑木林です

雪の色

むかしむかし、雪には色がついていました。
ひと冬、同じ色の雪が降り続きます。
「黄色!」
おいしい綿あめのような色の雪。
雪を口で受けて食べてみたくなる。
今年は、黄色だった。
去年はオレンジ色だったので、
今年は青だと思っていたんだけどな~
世界各国で今年の雪の色を想像してワクワクして待っていました。
最初はちょっとした予想が行われていました。
今年の雪は、たぶん緑色だよ、いやいや紫色だよと。
だんだんエスカレートしていき、
ぜったい赤色さ、まちがなく藍色だと。
世界中で大きな賭け事の一つにもなっていました。

神様は冬になると、来年の雪の色を考えています。
毎年毎年、頭を悩ませて考えています。
いろいろ考えて色を決め、1年かけて色を作ります。
みんなに喜んでもらえる色にしようと頑張っています。

そして、初雪を降らすと
とてもすばらしいと、喜んでいる人がいました。
でも、期待していなかった色だと機嫌が悪くなる人もいました。
たくさんある色の中からたった一つの色になるので、
希望していた色になって喜ぶ人は少なく
多くの人に不満を持たれるようになっていきました。

神様は、みんなに喜んでもらえないので考えました。
もう面倒なので、雪に色を付けないことにしよう。
透明な色にしようと考えましたが、
雪が見えなくなり、雪が降ったかどうかがわからない。
そこで、ちょっとだけ色をつけて、白い色に決めました
翌年から、ずっと白い雪が降ることになりました。