文の林

つたない文章の雑木林です

同期ボタン

M博士は身内の人や知り合いから
テレビとレコーダーを接続するケーブル、
ゲーム機とテレビを接続するケーブル等の
配線を頼まれることがある。
たしかにテレビの裏側には数々の
ケーブルを接続する穴が沢山ついている。
M博士は機械音痴の人には難しいこと
なのだろうと思い行ってあげた。

M博士は一応博士なので、このような機器の
接続には詳しいと思われている。
だけど、こんなのは面倒なだけだ。
M博士はケーブルを無くして誰でも簡単に
機器を接続できるようにしたいと考えた。
M博士は、モジャモジャの髪の毛をさらに
モジャモジャにして開発に没頭した。

現存する、Wi-Fi(ワイファイ)にならい、
Do-Ki(ドーキ)システムを完成させた。
A装置とB装置を接続する場合、
双方の装置についているDo-Kiボタンを
同時に押すと自動的に接続されるのだ。
当然、無線接続なのでケーブルは不要だ。

この成果により、誰でも機器の接続が簡単に
出来るようになった。
そして、背面にゴチャゴチャつながれていた
ケーブルは不要となりスッキリした。
M博士は、今後は100Vの電源コードも
無くしてしまいたいなと考えていた。

生き物の中で人間って言うのは難しい。
神様、神父様、仏様の前で誓って結婚しても
長続きしないのが結構いる。
赤い糸なんて、勝手に切ってしまうから
困ったもんだ。
そんな糸なんて無くしてしまえばいいのだ。

神さまはM博士のDo-Kiシステムを見ていた。
これは赤い糸の代わりになると考えた。
この男とあの女のDo-KIボタンを同時に押したら
一生添い遂げる二人になるだろう。
神さまは人間にDo-Kiボタンを埋め込んだ。

さて、あなたは神様が考えたDo-Kiボタンが
埋め込まれる前の人間、それとも
埋め込まれた後の人間なのかな?