文の林

つたない文章の雑木林です

クリスマスケーキ

あるところに、姉のアンと弟のトムが
小さい家に住んでいました。
二人の両親は共稼ぎで忙しい。
今日も仕事に出かけて行った。
貧乏なので、クリスマスが近づくがケーキは
買ってもらえそうもない。

今日はクリスマス。
二人が外を見ていると、クリスマスケーキの
箱を持って家に急ぐ大人が歩いていく。
老人が雪で滑って転んだのだろうか、
マントを着た人が雪の上に動かないでいた。
ずっと、動かないままだ。
二人は急いで外に出ていき声をかけて、
うっすら目を開けた老人を助け起こした。
老人は「ありがとう」と言ったあとに
「私は魔法使いだ」と言った。
アンは「そんなぁ、嘘でしょう」と言った。
トムは「魔法使えるの?」と聞いた。
今日は世界中のサンタクロースが
大忙しで働いているが、私は暇だと言う。
助けてもらったお礼にひとつだけ願いを
叶えてあげると言った。

トムは「クリスマスケーキ」と言った。
アンはケーキは食べてしまうとなくなる、
ひとつだけなら、これからの事を考えて
1本のスコップと野菜の種が欲しいと言った。
魔法使いは、マントの中からスコップと
いろいろな野菜の種を出してくれた。
魔法使いは、口笛を吹いてトナカイを呼んだ。
トナカイが引っ張ってきたソリに乗って
空に飛んで行った。
トムが「スッゲェー、サンタなの?」と言った。
アンは、プレゼントを出すときにマントの下に
赤い服がチラッと見えたので
「きっとサンタクロースよ」と言った。
そして、空に飛んで行ったときに
「今度は上手に乗りこなすぞ」と聞こえたので
「サンタさんは今晩の仕事のために
空を飛ぶ練習をしていたのかもね」と言った。

春になり雪が消えて地面が見えてきた。
家の周りには畑はない。
アンとトムは魔法使いからもらったスコップで
地面を耕した。
雑草や小石を取り除き、種を植えた。
雨が降らない日が続いたら
井戸から水を汲み畑にかけた。
種は芽を出しニョキニョキと成長した。
アンとトムは小まめに雑草を取った。
夏には食べられる葉や実がなった。

アンとトムは来年のための種を取った。
子供が育てた野菜に両親も喜んでくれた。
翌年も種を蒔き、野菜を育てた。
トムが「ネズミに食べられた」と言う。
アンは「それはネズミの分だよ」と言う。
トムが「虫の幼虫に食べられた」と言う。
アンは「それは昆虫の食べる分よ、
私達だけで全部を求めたらダメよ」と言う。

二人はいろいろなことを経験しながら
野菜を美味しく大きく育てることを覚えた。
努力すれば報われることも学んだ。
アンはパン職人になり、
トムはパティシエになり一生懸命働いた。
二人はこつこつとお金を貯め一つの建物に、
アンはパン屋さんをトムは洋菓子屋さんの
店を出した。
売っているパンもケーキもとても美味しくて
二人の店はとても繁盛した。

クリスマスの時期になると
二人は貧しくてクリスマスケーキが
買ってもらえなくて食べられない子に
店内のテーブルでケーキを食べてもらった。
当然、お金はもらわなかった。