文の林

つたない文章の雑木林です

知能指数計

果物や野菜の汁を測定機に入れれば
その果物や野菜の糖度を測る糖度計がある。

M博士はこの仕組みを使い人の頭の良さを
判断する「知能指数計」が開発できるのでは
ないかと考えた。
果物や野菜を絞って汁を測定する方法は
脳みそを絞らなくてはならないので駄目だ。
糖度計に非破壊式というのがる。
果物や野菜の自体の皮を剥いたり、
切ったり、絞ったりしなくても糖度を
測ることができるのだ。
この仕組みを取り入れ、人の脳みその
出来不出来をデジタル数字で表示したい。
これが実用化したら、高校受験、大学受験、
さらには入社試験もペーパーテストが不要に
なるだろう。
試験の一発勝負の日に緊張して実力が
発揮できない人にも朗報だろう。

これは、普及したら儲かるぞーーー

M博士は、モジャモジャの髪の毛をさらに
モジャモジャにさせて研究に没頭した。
小型化して体温計なみの大きさにした。
これを頭皮に接触させると、一瞬にして
知能指数がデジタル表示されるのだ。

入学試験や入社試験に使われるたのは
当然の成り行きだった。
学校では中間テストや期末試験をやめようか
検討しているところがあると聞く。
いまや、国や地方の議員、選挙の立候補者、
婚約相手、さらには、婚約相手の親や兄弟、
学校の先生などの測定値の公表を求められ
たりして社会問題になった。
あるマスコミは、県ごとの測定値の平均値を
テレビで流し批判を受けていた。

測定値は個人情報として本人の了解なく
公に表示させることはできなくなった。
しかし、測定器は普通に販売されているので
購入して、測定対象者が近くにいれば
了解なく勝手に測定することができた。

どうも、巷の情報では、おおかたの人の
知能指数が普通に推測できる数字より
高い数字が表示されることが分かってきた。
M博士はハタと気づいた。
私の測定値を標準として設定したのが
間違ったいたのだろうかと。