文の林

つたない文章の雑木林です

スマートウオッチ

M博士はどうしてスマートウオッチと
名付けられたのか気になった。
アラームやストップウオッチの機能、
健康管理や日常的な活動量などを計測、
電卓機能や睡眠の質の記録と管理が
できる時計だが、何もスマートではない。
ネットで調べたら、『スマート』には
賢いと言う意味があるのを知った。
M博士は賢い時計に納得したが、
ネーミングの通りに、太った人が
この時計を腕にはめたらスマートになる
痩せる機能を付加すべきだと考えた。

太った人は資源の無駄遣いだとして
資源浪費税、すなわち、太りすぎ税を
徴収する話を聞いたことがある。
もしかしたら有名ブロガーが書いたのを
読んだのかもしれない。
たしかに、太った人は
食べ放題の店に行っても普通の人の
3~4人分を食べても同じ料金だ。
国はどこから税金をむしり取ろうかと
虎視眈々と狙っている。
太った人は資源の無駄遣いをするから
課税しても国民は反対しないのだろうな。

これが本物の『スマートウオッチ』になると
M博士は、モジャモジャの髪の毛をさらに
モジャモジャにして開発に没頭した。
食事する時に顎の動く回数を計測して、
指定した数値を超えたらアラームを鳴らす。
それでも食べ続けていたら脳から満腹情報を
出して食事を終わらせるようにする。
なんとか時計の中にこの機能を加えた。

M博士は太っていない普通の体形だ。
プロトタイプを作って自分で検証した。
徐々に食事量が減りガリガリに痩せてきた。
これは売れると実感した。

知り合いのメーカーの人を呼んで
製品化して売らないかと話した。
メーカーの営業マンは
「この装置を腕につけていると
 自分は太っていて、この腕時計で
 痩せようとしているのだとわかってしまう。
 普通は人が見ていないとこで汗をかいて
 痩せようとするものですよね。
 これは売れないですね」と言われた。
それなら腕にしないで、見えないところの
足の脛にしたらと言ったら、
「『腕時計』ならず『脛時計』ですか
 賢い人は使わないですね、
 売れないですよ~」と言われてしまい
製品化はボツになってしまった。

でも、貴方は欲しくないですか?