文の林

つたない文章の雑木林です

思考ログ

M博士は、ほんの5分前に思いついたことが
思い出せないことがある。
そこで、頭の中で考えたことをログとして
出力できる装置を開発しようと考えた。

「ログ」とは、コンピュータの利用状況や
データ通信などの履歴や情報の記録を取る事、
またその記録を言うのだけど、
コンピュータの代わりに自分の脳みそに
しただけだ。

これは、普及したら儲かるぞーーー。
M博士は、モジャモジャの髪の毛をさらに
モジャモジャにさせて研究に没頭した。
これを世界初で完成させたら「ノーメル賞」は
確実だな。
山ほどのたくさん酒を飲めるぞーーー。
考えたことを文にするのに手こずったが
なんとか完成させた。

痴呆老人によく売れた。
ご飯食べてない、何を食べたとか、
覚えていなく介護者ともめるときがある。
必要であれば印字して確認できるので
介護者にとってなくてはならないものになった。

この装置が全人類に普及したら
裁判なんていらなくなるだろう。
ログを確認すれば、その人が犯罪を
犯したのかのかどうか明確になるからだ。

恋人同士でログの見せあいになったら
不純な人や二股している人は悲惨だろうな。
見せてください、見なくてもわかるでしょう、
そこまでしなくてはならないの、
私のこと信用できないの、
なんてことになるんだろうな。
婚約するときはログの開示が必須なんて
条件を付ける人が出てくるかもしれない。

M博士はボケ老人ではないと思っているが
この装置を使っている。
日夜開発に没頭しているうちに、
私は今、何を開発しようとしているのか
忘れてしまうからだ。