文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウとクロ

クロと言うのはケンタロウの家に近くに
住みついているカラスだ。
学校の帰りに給食の余りでもらった
コッペパンを食べて歩いていた。
カラスが飛んできて近くに来たので
少しちぎってカラスの方に投げた。
そのカラスはくちばしでパンを咥えて
飛んで行った。
それから、ケンタロウが学校から帰るとき
何度もそのカラスを見かけた。
ケンタロウは、真っ黒なカラスなので
勝手に「クロ」と名付けた。

ケンタロウがポッポと散歩しているとき、
近くの木にとまってカーカー鳴いていた。
ケンタロウが、「クロ、クロー」と呼んでも
小首を傾け、「何それ」っていう感じだ。

ケンタロウは、クロを捕まえて家の中で
飼えないかと考えた。
地面にエサのパンを置き、その上に棒で
引っかけたザルをかぶせた。
クロがエサを食べるために近づいたら
棒に縛り付けた紐を引っ張って、
ザルをかぶせてつかまえようとした。
クロが飛んできて、エサをみつけたようだ。
クロはくちばしで器用にザルを咥え、
ザルをずらしてから、エサのパンを咥えた。
クロはケンタロウの方を見て、
「どうだ、頭がいいだろう」というような
顔を見せてから飛んで行った。

秋になり落ち葉がたくさんあった。
ケンタロウは友達2人に、落ち葉を焼いて
サツマイモを食べようと言った。
友達は、バナナも焼いて食べたら美味しいと
言った。
もう一人の友達は、カボチャや大根を
焼いても美味しいのではないかと言った。
落ち葉を集めて火をつけた。
サツマイモが焼けるおいしそうな臭いが
してきた。
突風がきて、焚火が近くの枯れた草に
燃え移った。
焼き芋どころではない、火が広がらないように
靴で火を踏んだり、近くの物をよけたりした。
焦っているので、なかなか消えない。
ケンタロウは、二人に消火をたのみ、
近くの火の見櫓に登り鐘を鳴らそうと考えた。

ケンタロウは、ポッポと一緒に走った。
火の見櫓近づいたときに転んでしまい、
足首をひねってしまった。
鐘を鳴らすには登らなければならないが、
足が痛くて登ることができなかった。
その時、クロが飛んできた。
鐘はハンマーでたたくのではなく、
鐘の下に伸びている紐を引っ張るやつだ。
ケンタロウは、クロに鐘を鳴らしてと叫んだ。
クロは櫓の上に飛んで行き紐を引っ張って、
カーンカーンと鳴らした。

数人の大人の人が走ってきて
燃えるものを遠ざけ、バケツの水をかけた。
当然、大人にこってり怒られた。
焼いたバナナはどんな味がするのか
確かめられなかったのは残念だが
クロが自分の名前を憶えていたのは
うれしかった。