文の林

つたない文章の雑木林です

寿命計

M博士はたまたまテレビを観ていて
自殺者が多くなっていることを知った。
M博士は自分の寿命が2倍あっても
やりたいことは、その5倍ある思っている。
なんてもったいないことだと嘆いた。
そこで、自分の寿命がわかれば
命を大切にするのではないかと考えた。

M博士は、モジャモジャの髪の毛をさらに
モジャモジャにして開発に没頭した。
なんとか腕時計型の寿命計を開発した。
体内年齢が表示される体重計がある。
まずはその機能を使った。
さらに、時計の裏には小さな針があり、
血液を採取して成分を調べる機能を追加した。
私は医師免許は持っていないが
かのブラック・ジャック大先生も免許を
持っていないのだから良いだろうと考えた。
ほぼ完璧なものが完成した、がですよ、
誰かが亡くなった時に確認したわけではない。

寿命計には、あと何年生きられるのか
二桁の数字が表示される。
20歳の人が使用して、50と表示されたら
70歳まで生きられれることになる。

M博士は、こ寿命計を使って自殺を防ぐには
どうすれば良いのか考えた。
まだまだ寿命が残っているのに
命を絶とうとしている場合、アラームを
鳴らすことにした。
でも、これでは防止できないなと考えた。

せっかくだからとりあえず売ってみよう。
さて、どのようにして発売するか考えた。
結婚する二人が数字を見せあう。
ラソン大会前はこの数字を確認するだけで
医者による診断は不要になる。
2桁表示なので、最大数は99だ。
購入者は99を表示させたいと思うだろう。
カラオケの採点機能と同じように
最高点の99を出そうとする長寿自慢が
始まるかもしれない。

しかし販売してみるとM博士の思惑に反して
寿命計の残り少ない数字を見て、
悲観してしまい自殺者が増えてしまった。
残念ながら、寿命計の発売は中止された。