文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウと本

ケンタロウは本が好きだ。

親戚のおじさんが、一定期間
キンダーブックを送ってくれた。
これで本の魅力に取りつかれた。

お父さんに聞かれ、
エジソンの伝記を買ってもらったこともある。
将来は発明家になりたいと思った。

夏休みの宿題に出る読書感想文は
大嫌いだった。
読み終えたら書かなければならない。
読書感想文の事を考えると、本を読む気も
しぼんでしまう。
どうしても書かなければならないので書くが、
ほとんどあらすじになってしまう。
最後に「面白かった」と書いて終わりだ。

読書感想文ではなく、休み中に読んだ本の
名前を書いてきなさいだったら、
もっともっと楽しくたくさん本を読んだと思う。

漫画も好きだった。
だけど、家では漫画を読むのは駄目だった。
漫画を読むと勉強やお手伝いをしなくなるので
読ませてくれなかった。
友達が新しい漫画が出ると買っていたので
友達の家で読んだ。
本と違って、漫画の方は絵があるので
面白く次号が待ち遠しかった。

学校にある図書室も利用した。
たくさんの本の背表紙を見るだけで
ワクワクした。
本の中には自分の知らない世界が
広がっているからだ。

外に出て草わらに座って、名犬ポッポと
本を読む。
ポッポが本の内容を聞かせてと何回も
聞くのが面倒だったので、ポッポも本を
読むようにと、ポッポの前に本をおいた。
ポッポは鼻を近づけて、くんくんと臭いを
かぎながら表紙を見ていた。
ケンタロウは本を読むことができる人間で
良かったと思った。