文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウの夏休み

家で生き物を飼っているので
長期間の外出はできない。
家族みんなで一泊する旅行は無理だ。
せいぜい、みんなで街に出るくらいだ。
街に行ったら、デパートの最上階の
レストランに行き、ホットケーキを
食べるのが楽しみだった。
光り輝くシロップがかかっていて甘いのだ。
お母さんがフライパンで作ってくれるのとは
全然違っていてフワフワでおいしいのだ。
ケンタロウは一人分ではなく、二人分でも
三人分でも食べられると思った。

ケンタロウは、夏休みが始まるとすぐに
細かく宿題の予定を立てる。
この作業には十分に時間をかけて
完璧な予定表をつくる。
最初の数日だけ予定通りにやっているが、
今日一日サボってもまだまだ夏休みはある。
明日やればいいなんて、毎日思ってしまい
予定は総崩れになってしまう。
だから、お盆を過ぎたころから、
あわててやることになる。
最終的に二学期が始まって持っていく日まで
考えて前日までこなすことになる。

夏休み帳は、やらないわけにいかないので
眠いのを我慢してやってしまう。
これが終われば、ほぼ終わったことになる。
絵は、花火の絵を描く。
毎年同じだけど、一番最近観ていて、
頭の中に残っているからだ。
読書感想文は一番嫌いだ。
本を読むのは好きだが、感想文を書くとなって
用紙を前にすると、「おもしろかった」としか
思い浮かばない。
悩んだ挙句、あらすじをダラダラ書いて
一番最後に「おもしろかった」と書いた。
工作は好きだ。
お菓子の箱や厚紙でロボットや戦車を作る。
こればっかりに時間を書けるわけには
いかないので適当に妥協して仕上げる。

早朝のラジオ体操は雨降りでなければ
行かなければならない。
お母さんが強引に起こすのだ。
他の人も眠たそうな顔をして集まってくる。
音楽を聴きながら前の人に動きに操られて
ケンタロウも体を動かす。
厚紙に貼ったラジオ体操カードに判を押して
くれなかったら行かなかっただろうな。

なんだかんだ言っても、夏休みだ。
天気が良い日は原っぱでポッポと遊ぶのは
とても楽しい。
ケンタロウがかぶっている麦わら帽子を
円盤のように回転させながら投げると、
ポッポは一目散に走っていき、くわえても
戻ってくる。
学校に行かなくて自由に出来るのだ。
ケンタロウは、宿題がなければ、
一年中夏休みだったら良いなと思った。