文の林

つたない文章の雑木林です

脱出

気がついたときは壁によしかかっていた。
明かりが点いていなくて暗い部屋だ。
ここはどこなのかわらない。
手探りで壁伝いに歩いてみる。
正方形のような四角い部屋のようだ。
四畳半より大きく8帖間くらいか。
床は畳ではなくフローリングだ。
壁はクロスがはってあるのか
すこしだけざらついた。
一面が壁でないところが二か所ある。
何度も探っているうちに
最初によしかかっていた所は引き戸の
近くだったようだ。
開けようとしたが開かない。
この壁でないところにはノブが
付いているのでドアがあるようだ。
この部屋にいても仕方がないので
ノブを回してドアを押してみた。
ドアが開いた。

そこも明かりが無く暗い部屋だ。
とりあえず、その部屋に入った。
ドアは自動的に閉まった。
開けようとしたが開かない。
上司の目黒に小言を言われ目黒の藁人形を
神社の大木の幹に釘で打ち付けたのが
バレたのだろうか?
この部屋も手探りで探ってみると
最初の部屋と同じように
一面何もない壁が二面、入ってきた
所にはドア、もう一面はノブはないが
引き戸があるようだ。
指をひっかける取っ手がある。
左右に動かしてみると左側に戸が動いた。

新しい部屋も明かりは無く暗い。
とりあえず、その部屋に入った。
引き戸は自動的閉まり、開けようとしたが
取っ手もなく開けることが出来ない。
なじみの伊沙子の店でたらふく飲んで
「ツケといて」と言ったら、「いくら溜まっているか
知っているの、払いなさいよ」と言われ
逃げるように店を出た、出たはずだ。
出たところまで覚えているがその後は不明だ。
この部屋も手探りで探ってみると
最初の部屋と同じように
壁が二面、入ってきた壁には引き戸、
入ってきた壁を背にすると右の壁にノブがあった。
ドアがあるようだ。
ノブを回してドアを押してみたが開かない。
ドアを引っ張ってみたら開いた。

また新しい部屋のようだが暗い。
カゴから逃げたロッキーを踏みつぶして
殺してしまったからなのか?
ロッキーは我が家で飼っていた
ハムスターの名前だ。
そこも二面が壁だった。
今入ってきたドアを背にすると
右の壁に引き戸があるようだ。
取っ手に指を入れて右に動かすと
引き戸が動いた。
また新しい部屋が現れた。
この部屋も入ってきたところから
右側の壁にドアがあった。
そのドアを開けたら右側の壁に
引き戸があった。
その引き戸を開けたら右側の壁に
ドアがあった。
いったいこの建物には部屋がいくつあるのだ。
永遠に同じような部屋がつながっているのか。
私はここから出ることが出来るのだろうか?