文の林

つたない文章の雑木林です

植物の断末魔

私は家の周りの雑草に除草剤をかけた。
しばらくは変化がなかったが
2週間くらいしたら黄色くなってきた。
そして茶色くなって枯れてしまった。

何か甘い臭いがする。
普段嗅いだことがない臭いだ。
どこで臭いがしているのか気になった。
近くの花壇で咲いている花からだろうか?
近づいて嗅いでみても花壇からの臭いでは
ないようだった。
もしかして、この死にかけている
雑草が臭いを出しているのか?
色や音なんて、実際にあるものが
脳で感じるときにそれぞれの人に
脚色されて感じているかもしれない。
臭いもそうだ。
各自で感じる臭いは違うのかもしれない。

私は小さな畑で野菜を作っている。
ホで雑草を刈っている時も同じ匂いを嗅いだ。
雑草を切って植物を殺しているからだろうか?
植物って死んだり枯れていくときに
甘い臭いを出すのか?
臭いは、植物の断末魔なのか?
植物は動物と違い動くことが出来ない。
色は変化させることが出来る。
臭いも自己表現なの一部なのだろうか。

私は60年以上生きている。
このようなことを感じたことは無かった。
植物が息絶える訴えを嗅覚で感じる?
いまさらながら特殊能力が芽生えた?
いや、私は植物に危険人物として認識され
臭いを出して遠ざけようとしているのだろうか。
これは私にとって良いことなのだろうか?

臭いではなく音だったら、どうだっただろうか?
雑草を抜くたびに「ヒェー」とか
ホで雑草を刈るごとに「ギャー」と
聞こえてきたなら悲惨だ。
甘い臭いで良かった。