文の林

つたない文章の雑木林です

自動運転

世の中は、AIにより変わってきた。
自家用車に乗り、これから行く場所を
音声で伝える。
「はい」と返答が来たら行き先指定は終了だ。
「スタート」と言うと、自動運転開始になり、
車は周りを注意しながら静かに動き出す。
大量のドライブレコーダーの情報、
道路地図、交通事故のデータなどを
一瞬に判断して運転してくれる。
信号や道路標識、人や自転車を
目で見たように認識して交通法規を
だいたい守って運転してくれる。
「だいたい」と言うのがミソだがネ。
道路にボールが転がってきたら
スピードを落とし徐行する。
車が停まっていれば、車の陰から
子供飛び出してこないか慎重に走る。
遅い車が前にいたら、対向車と後続車を
確認して的確に追い越してくれる。
前に車が走っていれば、20キロくらい
オーバーしていても追従して走る。
パトカーを認識したら、捕まらない
ギリギリのスピードまで落として走る。
ちょっと待てよ。
もし私の車がスピード違反で捕まったら
私は運転していないけれど
誰の点数が減点されるんだ???

車が動き出したら、私は寝ていても良いし
本を読んでいても良い。
昔のハンドルを握っていた時とは
雲泥の差だ。
いくら私が安全運転を行っていても
向こうから来る車がぶつかってくるかも
知れない。
眠たくなって前を見ていない時が
あったかもしれない。
たばこの灰が膝の上に落ちて、
一瞬下をみたなどで運転がおろそかに
なったときもあっただろう。
車は、世の中に車が開発された時から
人に運転させてはならなかったのだ。
やっとAIの力を借りて安全に運転することが
実現できたのだ。

出発時に指定した到着地に着いた。
私は、車から降りてウウッと背を伸ばした。
運転していなくても疲れたのだ。
AIで制御された人型運転ロボットは
運転席に座ったままだ。