文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウ 冬の仕事

ストーブは寒くなってから使うので
冬だけの仕事がある。
ケンタロウの家は薪ストーブだった。
お父さんが輪切りにされた木の台に
割る木を立てておく。
高いところから斧を振りかざして木を割る。
割れた木がとんでもない方向に
飛んでいくことがあるので
近づいたら怒られたものだ。
木がきれいに二つに割れた時は
割れた時に出る音が好きだった。
薪割りは冬になる前にやっておく。
割られた木を集めて家の壁に積み上げるのが
ケンタロウの仕事だった。
ストーブの後ろ側は、いろんな大きさの鍋を
乗せられるようにワッパが外れるように
乗せられていた。
お母さんは大きな鍋でお湯を沸かしたり
煮物を作ったりしていた。

薪ストーブの次は「おがくず」を燃やす
機関車トーマスの煙突みたいな
形をした部分がついているストーブだ。
その煙突部分におがくずを入れるのだ。
「おがくず」は、鋸で木を切った時に出る
きりくずのことだ。
おがくずを燃やすストーブは
おがくずが下の方にスムーズに落ちてきて
燃えてくれれば良いのだが、
たまにおがくずが落ちないでいて
一気にドッと落ちるときがある。
ストーブから煙がボワーと噴き出るので
ビックリする時がある。
ケンタロウは今度は薪ではなく
物置から家の玄関までおがくずを運ぶのが
冬の仕事になった。
おがくずに水分が入ると凍って固まってしまう。
それを崩してガンガンに入れて運んでくる。
ガンガンとは一斗缶と呼ばれるブリキで
作られた大きな入れ物だ。
水分を含んでいなければ大きさの割に
軽いものだった。

牛舎に水道がない。
家の水道からバケツに水を入れて牛舎に
運んで牛に水を飲ませる。
水道になって、以前使っていたポンプより
だいぶ楽になった。
牛は体が大きいのでけっこう水を飲む。
牛がもういらないよと言うまで
水を飲ませる。
ケンタロウが持てるバケツなので
何回も水を運ぶことになる。
ケンタロウがオイル缶と呼ばれる
20リットルの缶で水を運ぶのは
もう少し大きくなってからだ。
これでケンタロウは随分力持ちになった。