ケンタロウは昔話を読んでいて、
浦島太郎になりたいと思った。
カメを助けて竜宮城に行ってみたかった。
絵にも描けない美しさってどんなのか?
見ることが出来れば描くことが出来ると
思うのだが、見えなかったのだろうか?
お土産にもらった玉手箱を開けると
いっぺんに老人になってしまうのは
知っているので、ケンタロウは
玉手箱をもらっても開けない自信はある。
海中なのに空気を吸えなくて苦しくないのか?
浦島太郎の家のお父さんやお母さんは
太郎がいなくなっても心配していなかったのか?
それよりも
カメと話をしたり、竜宮城でタイやヒラメの
踊りを見たり、たくさんのご馳走を食べたかった。
また、きれいな乙姫様に会いたかった。
宿題も勉強も何もしなくても良いようなので
1日中遊んでいたかった。
しかし、残念ながらいじめられているカメに
出会うことは無かったので、ケンタロウは
竜宮城に行く事が出来なかった。
お父さんたち大人が飲み屋と言う「竜宮城」に
行って、乙姫様たちに会っていたと知るのは、
ケンタロウが大きくなってからだった。
ケンタロウは、他の昔話を読んで、
金太郎はクマと話をしていた。
桃太郎はサルやイヌやキジと話をしていた。
ツルやスズメ、タヌキやキツネと
話をしている昔話もあった。
昔の人は動物と話が出来たのだ。
楽しかっただろうな。
ケンタロウは名犬ポッポと話ができるけれど、
もっともっと多くの動物と話をしたかった。