文の林

つたない文章の雑木林です

ケンタロウと音楽

小学校では一人の先生が全教科を教える。
ケンタロウのクラスの先生は男の先生で
歌がへたくそなのか、隣のクラスの女性の
先生が音楽を教えてくれていた。
そのかわり、ケンタロウのクラスの先生は
隣のクラスの体育を教えている。

ケンタロウは音楽の先生が嫌いだった。
ピアノを弾くことができる生徒を極端に
えこひいきするのだ。
ピアノを弾くことができれば通知表で
「5」をもらえるのだろうな。
ケンタロウはみんなで合唱するのも
嫌いだった。
自分の声が他の人の音に合っていないと
思うので、声を出さないからだった。
カスタネットとかの楽器もいやだった。
みんなと違うときに叩くと間違っているのが
バレてしまうからだ。
間違った音を出すと先生が
間違ったのは誰と、睨んでくるからだ。
家に木琴があったが、これも好きでは
なかった。
真剣にやらないと、すぐに隣の鍵盤を
叩いてしまう。
間違わないようにやろうとすると
どうしてもワンテンポ遅くなってしまう。
なんで、こんないやな音楽の勉強があるのか
わからなかった。
学校で習うのは、国語、算数、理科、社会、
体育、給食だけで良いのはないか思った。
給食は勉強ではなくて食べるだけだけどね。

原っぱで遊んでいる時や
ポッポと散歩している時歌うのは好きだった。
気持ちが良い時は知らないうちに口から
歌が出てくるんだ。
音楽なんて、自分で勝手に気持ちよく
歌詞を間違えても、音程が違っていても
いいんだと思った。
ケンタロウは音楽はうまい下手ではなく
楽しむことだとわかっていた。
学校でならう音楽の勉強は
楽しむということを教えてくれなかったのだ。